まず、鉄筆(てっぴつ)って何?
って感じですよね、今どき。
活字で「鉄筆」と漢字で記すと書体や字の大きさによってはつぶれてしまい、あまりにも読み馴染みがないので「鉛筆(えんぴつ)」と読み間違われることもしばしば。
ペーパークラフト・紙工作業界(ごとう調べ)では、折り線に沿って折りスジを入れるための道具。
柄のついたニードルの先端が良い感じにまるめられたもの。インクの出なくなったボールペンなどを指します。
折りスジを入れるのと入れないのとでは、カタチの仕上がりにダンゼン差がでます。
ボクは山折り線も谷折り線も気にせず印刷面に鉄筆を当てちゃいますが、がっつり仕上がりにこだわる方は谷折り線にはおもて面から、、山折り線には裏面から折りスジを入れています。(テクニカルイラストレーター篠崎さんやペーパークラフト作家光武さんはがっつり派、さらに突っ込んで彼らはハーフカットという技術も使います。)
まず僕が愛用しているのは
VANCO 鉄筆 No.100
鉄筆界の元祖。今のところこれに勝る使い心地の鉄筆に出会っていません。
しかしながら現在こちらは廃盤になってしまいました。残念無念。その存在が危うくなっていた20年ほど前、僕は一生分をストックするつもりでダース買いしちゃいました。
同シリーズにNo.50というのもあるのですが、ちょっと細いかな。印刷面をキズつけてしまいそう。これも廃盤だけど。
その後、後継モデルとして出ている
VANCO 鉄筆 No.100R
軸が木製になってみたり、グリップのバランスも軸の後ろめに変えてみたり、色もエレガントなんだけど…。残念ながら僕の手にはあまりしっくりこなかったです。
形状はまさにインクの出ないボールペン。鉄筆がないときに代用できるものの例えとしてよく使う「インクがでなくなったボールペン」そのものです(笑)。
VANCOの鉄筆が入手できなくなった時に僕がまず代用としたのがこれです。もとはインレタ(インスタントレタリング)やスクリーン転写用の道具。金属ボール部分をヤスリで削って具合を整えて使用しました。反対側のヘラ部分も紙のくせづけに使えます。ただインレタ転写用ってところに一抹の不安が…。と思っていたところ、テレビでマンガ家さんの仕事場特集をやっていて、スクリーントーンがバリバリの現役で使われていたのを目撃。衝撃受けました。まだまだいけるな。
そしてついに見つけてしましましたよ。
KIYOHARA サンコッコー トレースペン SUN60-48
今後の紙工作業界を引っ張っていってくれるであろう逸材。次世代スタンダードの予感。値段もほどほどで使い心地もさほど悪くありません。ただ、グリップ部分もプラスチックの一体成型なので手にとった印象が少々カタいかなという程度ですが全体的なバランスとして僕は気に入りました。何よりKIYOHARA サンコッコー ブランドは手芸用品を広く展開しているので、この商品を末長く扱ってくれることを期待してやみません。ただし近所の手芸屋さんでも見かけたことがないところに一抹の不安が…。ぜひ皆さん注文してください。
「鉄筆」のほかにも、「トレーサー」や「スタイラス」「トレースペン」などで検索すると使えそうな道具があります。使いやすいものをみつけてみたり、加工・自作してみるのもいいですね。
僕が小学生のころはコピー機が今ほど普及しておらず、(って書くと時代を感じるなー、年とったなオレ。)小・中学校からのプリント配布物は先生が藁半紙にガリ版刷りをするというのが一般的でした。そのガリ版刷りに用いられた道具が「鉄筆」なのです。しかしながら、大人になってからその存在を紙工作用で知った僕は鉄筆を本来の用途(ガリ版刷り)に使ったことがありません…。あしからず。