道具のはなし(2)〜接着剤〜

ペーパークラフトを作るときに用意するモノのなかで、何を使うのが最良なのか最も悩むかもしれません。多くの人がおススメしている接着剤としては木工用接着剤(水性)と合成ゴム系接着剤(溶剤形)の2種類があります。

水性タイプだと

コニシ ボンド 木工用  (適度な粘度・乾燥後固くなり低透明度)

セメダイン 木工用  (適度な粘度・乾燥後固くなり低透明度)

タミヤ クラフトボンド  (粘度ユルめ・乾燥後も弾力があり高透明度)

アルテコ パワーエース 速乾アクリア  (粘度ちょい固め・乾燥後も弾力があり高透明度)

このあたりを使ってます。

コニシ・セメダインの使用感はあまり差を感じるほどではないように思います。 使用感よりもコニシ・セメダインに関しては容器の形のほうが特徴的なので、そっちで好みが別れるかも。困ってしまうのは色が紛らわしいこと。どちらもスタンダード・速乾を白・黄色で色分けしているのですが、コニシはスタンダードが黄色、速乾が白。セメダインはその逆。いつも一拍考えてから手に取ります。 タミヤクラフトボンド・アルテコ速乾アクリアはノズルの細いものがあったり接着乾燥後に弾力があったりで使いやすいのですが、ちょいと高価だったりコンビニでも手に入る木工用ほどには流通していないので、入手のハードル高めなのがちと残念。

臭いがあまり強くないので、ご家庭でも問題なく使えるのが水性タイプの良いところ。 適度な粘度とくっつきの良さのバランスが優秀です。 紙工作のジャンルを問わずどんな作品にもオールマイティに使えます。 ただし水性という特性上、紙が水分を吸って膨張・乾く時に収縮するために、貼り合わせ面が多少波打ってしまったり寄ってしまうという難点があります。 木工用接着剤にはスタンダードと速乾がありますが、僕はスタンダードのほうが好みです。 (ペーパエンジニアSさんは速乾が好みだそうです。) 乾燥したときに透明度の高いタミヤクラフトボンドを、動物の目に表面張力でまるく盛って乾かして、瞳をキラリとさせるテクニックを使われる方もいらっしゃいました。これいいですよ。

溶剤系タイプだと

コニシ ボンド Gクリヤー

セメダイン 速乾G クリア

などを使ってます。双方の使用感はあんまり変わらないかな。(個人による感想です。)それより名前が紛らわしいです。お遣いに頼まれたら、2商品のうちどちらなのか絶対に迷います。店舗での流通量はダントツでコニシですね。 臭いが強いので(いわゆるシンナー臭)、換気をしたり取り扱いに気をつけましょう。 ねと〜っとしてネバネバと糸を引くような特性があるので、使い方にちょっとコツがいります。(大概の人はここで挫折します。僕もそのひとりでした。クサいしネバネバして扱いにくいし、両面塗って乾かしてから貼り合わせる行程がもどかしい。何がいいんだかよくわからなかったのです。)

溶剤系タイプの良いところは、接着の際に紙の収縮がないのでゆがみの少ない形づくりが出来ることです。 クルマや建物・工業製品などのカチッとした作品、平行・垂直をキッチリだしたいときに重宝します。 さらにペーパーセメント溶解液 ソルベントを塗布すると容易に貼りはがしができるのもポイントです。 一部分だけ修正したものを付け替えるとか、あとで分割して補修する・位置の調整をするといったことがやりやすいのです。 (テクニカルイラストレーターS崎さんやペーパークラフト作家M武さんはこっち派です。)

以前僕は何を作るのにも木工用を重用していたのですが、現在は用途に合わせて接着剤を使い分けて作っています。デカ立体を作る時などは、貼り合わせの位置を少しずつ合わせながら固定していくので、できあがった各部を組み合わせていく時に溶剤系がとっても便利です。基本は木工用のスタンダードですけどね。

水のりやスティックのりは、水分量が多すぎたりうまく塗り広げられなかったりしてペーパークラフト用途としては扱いにくいのであまりオススメしていません。ただ、接着剤を選ばず作れるようなお手軽で取っ付きやすい作品づくりというのもあるなぁと感じています。最終的には抜き型入りのはめ込み式ってことかな。これだと接着剤も必要ないな。 作る作品や作家さんの好みによってオススメ接着剤が違ったりするのもおもしろいですよ。作家4人で紙工作教室やるために使う接着剤が3種類必要だったりするんですから。

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